父の手帳大の創作ブックから、1928年9月21日の日付のある詩を紹介します。小さな文字でぎっしりと書き込まれたブックの一頁。父18歳の作です。
カフヱーの裏
カフヱーの裏で
洋食の腐りを
野良犬が食べてゐた
ただれた蒼白の顏の寢起の
ウヱターが犬を
追つた
犬はなぐられるのが恐くて
二、三歩後寄つたが
じつと逃げず眺めてゐたー。
!
野良犬と、夜の人間の野良犬
であるウヱターとは
しばし洋食の腐りを
中央に、眺め合つてゐた。
一九二八・九・二一・