
兵庫県教育委員会が発行している月刊「兵庫教育」12月号の特集の「随想」に、龍力㈱本田商店(姫路市)の五代目社長、本田龍祐(ほんだりゅうすけ)さんが日本酒づくりにかける自らの思いや取り組みを書かれています。
大叔父にあたる三代目社長が65歳を過ぎてから京都大学で「山田錦の土壌研究」に取り組み、兵庫県の誇る酒米山田錦は、北播磨の加東市東条・社、三木市吉川地区の特A地区の土壌が最適であることを明らかにしたことに強い関心をもったと述懐されています。
私も県議会の産業労働常任委員会で本田商店を訪れたことがありました。当時の四代目社長さんが特A地区である加東の東条秋津の土壌は「宇宙に一つ」という三代目の言葉を紹介してくださったことを今もよく憶えています。
加東や三木市吉川の土壌は、今から3000万年前~300万年前の長い時間に形成された土壌であり、社、東条、吉川の土壌の特質について書かれており、あらためて三代目が話されていた、日本に一つ、世界に一つ、宇宙に一つしかない貴重な土壌であるという言葉を思い出しました。この土壌(下層部)の上に、長年にわたり生産者がつくり続けた耕作土(約30cm)が加わり、「地球からのメッセージと農家の努力」が山田錦の栽培に最適な「土」となっていることを知り、あらためて感銘を受けました。
この「随想」の題は「Enjoy Nippon~日本文化を楽しもう~」です。酒造りを通して、日本文化を伝えることを目標に、「世界一の蔵元」をめざして学び、行動することを大切にしているという五代目社長の熱い思いが綴られています。この「兵庫教育」の読者は、先生や教育関係者だと思いますが、子どもたちや若い人にもぜひ読んでもらいたい「随想」だと思いました。