昨日に引き続き、社町銃後奉公会による「銃後の便り」(昭和17年)の記事を紹介します。今日は産業組合からの報告です。戦地の兵隊さんが米や麦の取れ具合いなどの報告を読みながら、内地の刈り取り風景に思いをめぐらせていたのでしょう。
産業組合の概況 社信用販売購買利用組合
秋のよい時候になりました。それは内地の事で戦地では暑さ寒さの激変で無不順の事と御察申上げます。戦地の皆様には気候風土のお隙りもなく御勇健に日夜君國のために御奮闘下さる御苦労厚く厚く感謝して居ります。何卒御身御大切に此の上共邦家の為御尽し下さいます様御願申上げます。
銃後も夫々職域を通じて御奉公に張り切って居ります。殊に本年の稲作も大体順調で出来栄も好く今は刈取りの最中です。今年は豊作の見込みで楽しんで居ります。何卒御安心下さい。
我が産業組合の状況概ましをお知らせ致します。組合創立してから二十一年になります昨年新加入を募集しまして組合員は一千五十余名になりました。以前から懸案であった農業倉庫昨年春社駅前に建築竣功しましたのでその竣工式と創立二十周年記念式を昨年五月に挙行致しました。時局下此の倉庫で当町は非常に利便を享けて居ります。
一昨年は米麦の内酒米は承認が扱ひましたが昨年から米麦は一元的に産業組合が取り扱ふ事になり、昨年は米一万五千六百余俵、麦一万三千二百俵を取り扱ふてゐます。此の内米麦各一万俵程□農業倉庫へ収容致しました。
今年は米は之れ以上の供出があると力んでゐます。
肥料の配合等に就いては以前から相当力を入れて来ましたが夫れは当町消費の約半数量でしたが昨年から総ての肥料を組合で取扱ふ事になりました。又、農機具類も経済更正委員会(県、郡、町毎に夫々に設置しあり)が割宛して現品は全部組合で配給する事になりました。本年十月一日から一元的に組合で取扱ふ事になり其の他配給物品の一部を取扱ひ追々事業は盛になりつつあります。
是れまでの様に金銭の貸借の信用部計りでなく各方面共に国家の要請に応へて御用を務め得らるゝ事は誠に結構な事と悦んでゐます。
信用事業では貸付が漸減して貯金が微増致しました。事変前は貯金総額五十五万円でありましたが、事変後殊に茲二、三年間加速度的に激増し約三倍の百六十余万円になりました。之れは組合員各位が国策に副って貯金報国の赤誠の現れであり誠に喜ばしい事であります。
郷土から戦地の皆様の武運長久を祈って居ります。