戦前、夜間の定時制実業学校がありました。これは、産業の発達によって、実業教育の必要性が高まり、小学校教育の補習と簡易な職業教育を行うものでした。設置者は市町村か私人で、実業の教科はその地域の産業の特性によって農業や工業などを選択できたようです。(社町史参考)。
社町(旧社町のこと、今の社小学校区)では、町立農業補習学校が大正9年に創立されています。その社町農業補習学校長から各部落区長宛の報告、協力依頼の文書があります。学校のようすを知ることができますので紹介します。
拝啓春暖の候益々御多祥の条大慶に存じます 扨当補習学校は本学年度から学則を改訂し組織を整へて補習教育の振興を図り我社町青年教育の為能ふ限りの尽萃をいたしたいと希つて居ます 去る四月十六日、第一学期の授業を開始しましてから尚七回、此間貴部落青年団支部長各位を煩はし又保護者諸彦の御賛意を求めつつ内に在つては調査事項の万端に歩を進めて参りましたが漸く予定に近い在籍生徒を得まして其の出席も先づ可なりの実績を示しかけました。而し未だ端緒であつて将来に向つては町内諸彦の大なる御後援に拠つて漸次学校の理想に近づけたいものと期待いたして居ます 何卒御寸暇の節は御示観下さつて御批正等なし下らば生徒の感じも一段励まされる事と存じます 尚機会もありましたら貴部落内諸彦にも御伝声方宜敷しく御願ひ申し上げます 別項記事は御参考までに御報申します。
四月三十日 社町立農業補習学校
部落区長 殿
別記事項
一、補習学校第一学期ハ四月、五月、第二学期 九月、十月
第三学期ハ一月、二月、三月 即一年の中、七ヶ月授業デス
二、第二学期ハ毎週月、水、金ノ三回ヲ定日トシ各午後八時ヨリ同十時迄ノ二単元
ニ分けて授業ヲ行ヒマス
三、各学科共本校デ選定シタ教科書ヲ持タセルコトニシテヰマスガ当分ハ印刷物デ代用シマス