ふるさと加東の歴史再発見

少し気をつけて周囲を見回してみると、身近なところにふるさとの歴史を伝えるものがある。

昭和13年刊の『昭和中學修身書』から

 

 昭和50年代前半に大学を卒業して帰郷し、教員生活を始めた頃だったと思いますが、よく知った近所のおじさんから、旧制中学校時代に使った教科書をいただきました。
 そのうちの一冊が昭和13年2月文部省検定済の『新制準拠 昭和中學修身書 巻二』(永澤金港堂発行)です。
 巻頭には、聖徳記念絵画館の「憲法発布観兵式行幸啓」の絵画がカラーで飾られ、続いて、「天壌無窮の神勅」、「教育二関スル勅語」、「戊申詔書」、「国民精神作興ニ関スル詔書」の日本の国體(国柄)に関する重要な神勅、勅語詔書が掲げられています。
 目次を見てみると、国體、皇祖皇宗、天皇、皇室、敬神崇祖と祭祀、国憲国法、臣民、忠君愛国、国民皆兵の精神、家、親子、祖先、夫婦、兄弟と親族、忠孝一致、戊申詔書(一)、戊申詔書(二)の17課からなっています。
 教科書にはおじさんが引いた傍線や学習した日付の数字が書き込んであります。また、カラーの挿絵や白黒の写真が掲げられています。
 内容は、私たちが受けた戦後の学校教育では教えられてこなかったことばかりです。敗戦後、GHQが地理歴史教育、修身教育の停止を命じたことがその原因ですが、日本という長い歴史を持った国の成り立ち、国柄、国家や家族観などを教育から排除するというGHQの目的がありました。
 来年は昭和100年にあたります。今から86年前、近所のおじさんが旧制中学校で学んでいた日本の国の姿をこの一冊から知ることができます。わずか、86年前なんですね。