今年の佐保神社の秋祭りは本殿保存修復工事の竣功を記念した特別のお祭りでした。竣功を祝って、5台の太鼓屋台が勇壮な練りを奉納しました。私は社の上組屋台に属しています。今年、上組の屋台は、竣功記念に合わせて、4面の狭間(彫刻)をきれいに復元し、約30年かけてきた各部の修理を完成させました。その自慢の屋台を担いで披露することができたことが何よりの喜びでした。
上組の屋台は、高砂の曽根の屋台を買ってきたものと聞いています。曽根町の屋台の特徴である、反りあがった布団屋根がそれを示しています。屋台は、そもそも神様へのお供え物をのせる「三方」の形をしており、その四方が反りあがっているのは、神様への感謝の心をこぼさないようにしてある、という深い話を聞いたことがあります。
町内巡行は「どんでんどん」の太鼓と「よーいとさのせ」「どっこいせ」「どっこいせ」「どっこいせ」のゆっくりした掛け声で重々しく粛々と進んでいきます。しかし、宮入では、威勢のよい「どんでどん」「どんでどん」の太鼓と「はーよーお、おいせーえのお伊勢参りしーて」「はあよいよい」と伊勢音頭の歌に合わせて、激しく、大きく揺らしながら練りまわります。そして、拝殿前に屋台を据える時、「さっしのせ」の掛け声で、高く差し上げ、神様に奉納するのです。
青年時代に宮入の太鼓を叩かせてもらいました。上下左右に揺れる屋台に乗って、緞帳の隙間から見え隠れする境内の人々の顔、顔は、まるで、波に揺られながら進む船の上のような感じを受けたことを今でもよく覚えています。
父らが青年の時代は、この屋台を各所に担いで持っていき、ぶつけあって勝負をしていたと小さい頃聞きました。勝負に勝って提灯を取ってきたとかの自慢も聞きました。確かめようがありませんが、当時は各村に太鼓屋台があった頃ですから、そうだったかもしれません。
飾りのついた指手棒(しで)を太鼓の周囲で振りながら屋台が進み、あるいは練ります。この役目は邪気を払うのだとも聞きました。大切な役目です。屋台の担ぎ棒の先端の棒端(ぼうばな)役も大事で、屋台の動きを制御しながら、進んだり、止まったりします。この役目も経験しましたが、指揮者の指示に合わせて、横に振り過ぎないように動かしていきます。急に振ったりすると、担ぎ手の足並みがついていけずに屋台を落とすことにもなります。
そんなことをいろいろ考え、思い出しながら、「祭りのあと」を楽しんでいます。